映画「デトロイト・メタル・シティ」が公開されるっていうんで、「SATSUGAI」がリリースされたわけだけども、そのユルさに絶望した。これがデスメタルか。違うだろ。メタルですらないじゃん。日本の商業ラインに乗ったデスメタルが予想以上にユルかった。こんなんじゃ濡れねーんだよ!
っつーことで、デスメタルという音楽についてまとめてみることにした。ルーツを遡りすぎると、エルヴィス・プレスリーどころか、ブルース、ジャズまで行ってしまうので、スラッシュメタルから始める。スラッシュメタルというのは、80年代初頭にNWOBHMを過激にしまくったメタルの一種で、ようするに死ぬほど頭悪いメタルと思って間違いない。デスメタルに影響を与えたバンドはCeltic Frostあたりかな。
Celtic Frost- Circle of the Tyrants
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=wx-HfWKxgBw]
さらに、Slayerもデスメタルに至る要素を多く含んでる。
Slayer – Angel Of Death
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=kBW_b-WJ2us]
これらスラッシュメタルの影響を受け、デスメタルが登場したのは80年代後半で、DeathやObituaryといったバンドがデスメタルを代表するバンドだが、この時期のデスメタルはまだスラッシュメタル臭さを残している。っつーか、デスヴォイスのスラッシュメタルと呼んだ方がいいかもしれない。
Death - Infernal Death
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=XLmC47eBdpU]
Obituary – Internal Bleeding
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=DGy-8hmnDAI]
デスメタルが商業的な成功を収めたのは、90年代に入ってからで、この時期にデスメタルとしてのスタイルが完全に確立すると共に、デスメタルというジャンルの中で細分化が始まるようになる。Morbid AngelやDeicideのようなブラストビート主体と暴虐なリフを主体とするバンドが出る一方で、前述のDeathはプログレッシブなスタンスを取るようになる。人がデスメタルと呼ぶのは、大体この時期のバンドが多い。
Morbid Angel – Dominate
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=DowWbQPp3ZI]
Deicide – Once Upon The Cross
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=_llXgKpHdd4]
しかし、アメリカのメタルは90年代前半、Nirvanaを始めとするグランジ/オルタナ勢により、そのほとんどが駆逐され、アメリカのメタルミュージックは暗黒の時代を迎える。しかし、デスメタルはヨーロッパ、特にスウェーデンで別の形に進化する。デスメタルにメロディらしいメロディを付けたメロディック・デスメタル(略してメロデス)というジャンルがCarcass、At The Gatesにより生み出される。
Carcass – Heartwork
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=B7lP30tSZF0]
At The Gates – Blinded By Fear
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=SF0U77bm9mc]
Carcassはネオクラシカルのスタイルを、At The Gatesはスラッシュメタルのスタイルを取り入れ、それぞれ別の方向で進化を始める。両者の違いは、デスメタルをどのレベルまで原点回帰させたかじゃないかと思う。Carcassスタイルのメロデスは、Arch EnemyやChildren Of Bodomへ。At The Gatesは、Dimension Zeroのようなデスラッシュへと進化した。
Arch Enemy – Enemy Within
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=72xgLBOQZh4]
Children Of Bodom - Needled 24/7
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=hjZXUyvFQDA]
Dimension Zero – Silent Night Fever
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=rdoGwW2vG4k]
さらに、メロデスの創成期から活躍するIn Flamesは、メロデスの新たな道を模索しているし、Dark Tranquillityは叙情的なフレーズを多用している。メロデスは今なお、その裾野を広げている。これらのメロデスと分類するため、デスメタルらしいデスメタルはブルータル・デス(略してブルデス)と呼ばれている。
In Flames – The Mirror’s Truth
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=vF8ldaRTkB8]
Dark Tranquillity – Nothing To No One
[youtube=http://jp.youtube.com/watch?v=GAhxcgfGmUs]
メタルの歴史を見ると、アメリカとヨーロッパは互いに影響を与え合いながら、ブラッシュアップさせている。アメリカはビートに重点を置き、ヨーロッパはメロディに重点を置く。アメリカでは、2000年に入るとAt The GatesやIn Flamesから影響を受けたメタルコアという新たなジャンルを産んだ。
スラッシュメタルからメタルコアまでのメタルを全部ひっくるめて、エクストリーム・メタル(Extremeというメタルバンドはあまり関係ない)と呼ばれている。メタルコアについては省略。
かなりザックリと、そしていい加減にデスメタルというジャンルの流れを説明してみました。年代とかはうろ覚えなので、Wikipediaを参考資料にしています。自分自身、ブルデスよりもメロデスの方が好きだったりする。Dark Tranquillityは最高のバンドだと思うよ!
で、余談。
デスメタルバンドにおける悪魔崇拝というのは、実はネタでやっている。しかも、悪魔崇拝を掲げるバンドというのは、初期デスメタルの傾向で、最近はそれを全面に掲げるバンドは少ない。化粧をしているバンドもほぼ皆無で、ファッション的には小汚いスティーブ・ジョブスのような感じ。
犯罪的なイメージというのは、おそらくブラックメタルから出たものだと思う。初期ブラックメタルは、デスメタルがネタでやっていたことをガチでやったという黒歴史を持っている。例えば、教会に放火したり、殺人をしたりということをガチでやった。刑務所に服役中の人もいる。
日本人のデスメタルに対するイメージっていうのは、聖飢魔IIなんだと思う。「SATSUGAI」を聞いて「これって聖飢魔IIを参考にして作ったんじゃねーか?」って思った。「デトロイト・メタル・シティ」自体が完全に聖飢魔IIだしね。たぶん、あれが普通の人のデスメタルに対するイメージなんだと思う。
別に、それがデスメタルのイメージを壊してるなんて言うつもりはないよ。そういうステレオタイプのイメージが暴走することが、あのマンガの面白いところだしね。